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多様な視座から   vol 4

uhh09396
3 日前
読了時間: 3分

✍️「怒る」と「叱る」の境界線 (その②)


第3クォーター。相手の速攻を止めようと、戻った選手が一瞬判断を誤り、ゴール下で簡単にレイアップを許す――。

『何やってんだ!戻れって言ってるだろ!』

ベンチから飛んだその声に、選手の表情が強ばる。コート上に漂う、微かな沈黙。

返ってきたのは『すみません』という蚊の鳴くような声だけだった。

指導者の口をついたのは、選手への指導ではなく、自らの苛立ちだった。

 

他方、別の現場では、こんな場面があった。

同じような戻りのミス。タイムアウトを取った指導者が選手に静かに語りかける。

『判断が遅れた理由は何だ?疲れてたか?迷ってたか?』

『次、同じ場面でどう動く?』

選手はわずかな沈黙のあと、『次は、相手の目線を見てから予測します』と答えた。

ベンチに戻るその背中は、少しだけ前を向いていた。

選手に考えさせ、次の行動に繋げるための声かけだった。

 

「怒る」と「叱る」は、似て非なる。

  • 怒る:主語は自分。感情のはけ口になりやすい。

  • 叱る:主語は相手。目的は“成長を促すこと”。

 

怒られた選手は、心を閉ざす。

叱られた選手は、考え、前を向き、立ち上がる。

もちろん、瞬時の判断が求められる場面で感情をコントロールするのは難しい。

だが、私たち指導者が忘れてはならないのは、「正しさ」だけで人は動かないということだ。

怒鳴られた記憶は、正論よりも「怖かった」が先に来る。

叱られた記憶は、時を経て「自分を見てくれていた」と心に残る。

“正しく伝える”とは、相手の心に「届く形」で届けること。

 

次に声を出すとき、自らに問いかけたい。

「その声は、選手の未来のためか?」

 


「余録」

「闘争か逃走(fight or flight)」反応

 

怒鳴られた子どもは急激にストレスホルモンが分泌され、脳と身体が「待機モード」になります。

その結果、以下のような行動が現れ易いです。

 


①逃げる(Flight)

 □物理的に距離を取る:視線を逸らす、後ずさりする、練習から離れる。

 □心理的に距離を取る:心を閉ざす、返事をしない、表情をなくす。

 □回避行動:次から同じ場面や人を避ける(練習を休む、意図的に関わらない)

 □自己否定:自分はダメだと思い込み、挑戦自体をやめる。


②戦う(Fight)

 □反抗的態度:言い返す、舌打ちをする、乱暴な言葉を返す。

 □挑発的行動:意図的に指示に従わない、ルールを破る。

 □攻撃的プレー:体当たりやラフプレーが増える。

 □仲間や他者への八つ当たり:怒りの矛先が周囲に向かう。



どちらの反応も、根っこには「恐怖から身を守るための無意識の反応」があります。

つまり、「言うことを聞かせるために怒鳴っている」つもりでも、子どもたちは「学び」や「集中」のモードから外れ、「身を守るモード」に入ってしまいます。

まさに「恐怖が生む二つの選択肢」ですね。

 
 
 

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